都市と交通

 これからの交通

 人間が生活をしていく上で必要なものは衣、食、住といわれるが、今後ますます重要性を持ってくるのが交通である。交通はできたら少ない方がよいと言われるが、社会が発展し、人々の生活が豊かになるにつれ、交通は欲求的性格を帯び、移動の拘束をいかに取り除いていくかが強く求められる。
交通の手段として、誰にでも使え、身近かなものとしては徒歩、自転車があるが、空間の抵抗に打ち勝つものとして自動車、鉄道、船、飛行機は優れた乗り物である。これらの交通手段は相互に組み合わさり、連結して交通を支えることになる。人が移動するのか物が運ばれるのか、また、どこからどこへいくのかによって、使われる交通手段と交通システムは大きく異なってくる。

自転車都市「ハウテン」の都市構造

引用:新田保次・三星昭宏(1992):オランダの自転車交通政策とサイクル都市「ハウテン」,都市問題,Vol.85,No.5,pp.53-61

 道路の整備と自動車の進歩とがあいまって、好きなときに好きな場所に容易に行くことができるようになったが、まだまだその水準は低いものである。人々のより速く、より快適に、より安全にといった欲求は強いものがあり、その実現はいかにしたら可能なのかが検討されている。また、道路と自動車のシステムは今だ使いやすいものにはなっていない。女性、高齢者、身障者などの交通欲求は高まり重要視されねばならない。その場合自動車を手軽に安心して利用できることが求められる。このように、道路と自動車への人々の欲求はますます多様化、多極化傾向にある。使いやすい道路の整備、自動車の開発とともに、道路と自動車をいかに賢く使って行くかのソフトウエアの開発が必要である。

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