構造物の設計

 材料の科学 

1.土木材料の種類

 物を造るには材料が必要である。土木構造物に関して見れば、最近ではほとんどがコンクリート(concrete)と鋼(steelでironではない)によるものと言っても過言でない。ただし、構造物は大地という地盤の上に築くこと、および、トンネルなど地盤の中に造ることを考えると、土・砂・岩石の性質そのもの、および、地盤の特性も充分に把握しておく必要がある。よって、土木に関連する重要材料は、鋼・コンクリート以外に、木材、土、砂、岩、レンガ、アスファルトを加えるとともに、最近では新材料・新素材として高分子材料を使用する機会が多くなっている。

2.材料に起因する事故事例

 コンクリートは引張力に弱く、ひびわれが発生する。このひびわれに対して鉄筋を入れて補強するのが鉄筋コンクリートである。しかし、10年ほど前に、力学的に説明のつかないひびわれが構造物に発生したことがある。原因として、コンクリートの締め固めが悪い、セメントが少ない、構造物が異常な沈下をした等の検討がなされたが、納得のいくものでは無かった。そして、ついにこのひびわれはアルカリ骨材反応であることが判った。アメリカでは約30年ほど前から存在していた現象であったが、日本では全く無いと信じられていたのであった。アルカリ骨材反応とはセメント中のアルカリ金属(N,K等)とある種の骨材が反応し、骨材表面で異常膨張することである。最近はコンクリート用の砂利や砂(これらを骨材という)は川から採ることができず、岩山からの採石が主であり、この結果発生したわけである。研究の結果、これらの反応を防御する技術が確立されつつある。

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