地盤とジオフロント

 ジオフロントを拓く

 ジオフロント開発については、これまでにも地下空間は多方面に利用されてきたが、都市部のライフラインやインフラストラクチャーなどは地表付近の比較的浅い地下空間に限られていた。しかし、近年、都市部における地価の高騰が引き金となって、一躍脚光を浴びたのが大深度地下空間である。これは、通常、既存の構造物基礎が達している地盤より深い地下空間を指し(深度50〜100m程度のものが考えられている)、そこでは私権を制限し、公共、公益のための地下空間として活用しようというものである。大深度地下空間に関しては、法制上の整備も必要とするので、今すぐに実施できるわけではない。しかし、このような背景のもとに、現在、ジオフロント開発は、地上空間とシステマティックに連携した地下空間利用を考えようという気運が高まっており、いくつかのプロジェクトでは実施に移されつつある。したがって、ジオフロントすなわち大深度も含めた地下空間の活用は、特に大都市において避けて通れないといっても過言ではなく、これからの21世紀にかけて大いにすすめられるであろう。

国道2号(梅新-桜橋付近)の地下空間利用状況
引用:松井保(1994):関西におけるジオフロント開発,近畿日本鉄道 技術研究所技法,Vol.25,pp.7
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